「未来を語る」というアドバイス自体は間違いではないものの、「自己分析をしなくていい」という言葉が、これまで「まずは自己分析だ!」と思っていた就活生を、「何が正解なんだろう?」という悩みの沼に落としてしまうようです。
ただ、アドバイスをしたOB側も「就活生を悩ませてやろう」と思っているわけではなく、本心から言っている点が、この問題の難しい部分です。
そそもそもなぜ、OB・OGはこんなアドバイスをするのでしょうか? それは、
「自分たちが、自己分析をせず就活をして内定を獲得したり、いま楽しく仕事ができている」
という事に尽きると思います。
自己分析をしないで後々後悔するケースも
なぜ彼らは自己分析をしなくても充実したキャリアを歩めているのか、私は2パターン存在すると思っています。
(1)普段から自分の過去を振り返りながら内省していて、しっかりとした自分軸を持っているパターン
稀ではあるのですが、こうした学生は時折います。非常に優秀で、「自己分析」とあらたまって過去を棚卸して言語化しなくても、すでに自己認知ができていて、面接でも、「自分がどうなりたいか?」「自分が何をしたいのか?」をしっかりと答えられるのです。こうした学生は、確かに自己分析を必要とせず、しっかりとしたキャリア選択が出来ます。
(2)表面上の受け答えが得意で、何となく面接を乗り切ったパターン
面接の形式的な質問を、その場の切り返し力と、表面的に考えた「やりたい事」を語ることで何とか乗り切ってしまい、内定獲得まで出来てしまうケースです。
ただ、自分と徹底的に向き合うことをしてこなかったので、自分にあったキャリアの選択が出来ているかは微妙で、数年経って壁にぶつかることもあります。このパターンで「自己分析なんていらない」という人は、社会人1~2年目までの人がほとんどです。
実は学生時代の私がまさにこのケースでした。表面的にやりたかった「コンサル」会社数社から内定を頂き、「一番自分を評価してくれていた」会社に入社を決めていました。しかしある出来事があって「ここではない!」と直感的に感じ、内定を辞退してあらためて就活をやり直しました。
自分の体験をベースに、「自己分析なんていらない」というOB・OGはいるかも知れませんが、自己分析なく自分に本当にあったキャリア選択が出来る学生は、ほんの一握りです。
「自分が将来どうなっていたいか」を相手に語って、納得感持って理解してもらうためには、「自分がなぜそう考えるのか?」というところまで突き詰める必要があります。そのために、自己分析は必須です。是非、深く自己分析をして、そこで導き出された自己認知から未来を語れるようになって貰いたいと思います。