朝礼で告げられたのは、驚くような冷たい言葉だった。
「社長が会社を売却する事が決まった。先方は必要な社員しかいらないと言うので皆さん自活してください」
会社側は社員の雇用を守る気などさらさらないようで、さらに畳み掛けるように「資産の切り離し」についても言及したという。
「売却の方法は商品、ブランド、在庫、顧客リストを別会社に移してそちらの会社を売却するので、しがみついても無駄です。なお、キャッシュアウトを防ぐ為に冬のボーナスは無しです」
ここまで露骨に「お前らはいらない」と言われれば、社員の心は完全に離れてしまう。案の定、職場の空気は一変した。
「ちなみに、出来る社員から蜘蛛の子を散らすように消えて、業績悪化とコロナの発生で買収話自体が消えてしまいました」
結局は自ら会社の価値を下げてしまい、身売りすら頓挫したのだ。もちろん男性も転職した社員の一人で、他人事のように「売上半分以下だけれどもまだ会社は残っているみたいです」と顛末を書いている。
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